MENU

ティアムーン帝国物語評価レビュー|めっちゃゆる~い、やり直しの悪役令嬢系ラノベです

  • URLをコピーしました!

この記事では、「ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~」をレビューします。

ぼくは、あまり悪役令嬢ものは読まない人間なのですが、最近では珍しいシンプルなタイトル(文字数は長い)、めちゃくちゃ可愛くて好みなイラストに惹かれてしまい、勢いで全巻購入しました。

表紙のイラストの子が可愛かったんだ…

この作品を読む前は、「主人公が転生してチート能力か悪役令嬢とは違う思考でまっとうに生きていく系なのかな」と思っていましたが、ティアムーン帝国物語はいい意味で期待を裏切りました。

この作品をひとことで表すなら、すごいゆる~い感じなやり直しの悪役令嬢系です。

目次

あらすじ

崩壊したティアムーン帝国で、わがまま姫と蔑まれた皇女ミーアは処刑された――はずが、目覚めた彼女は12歳の少女に逆戻り?? 第二の人生でギロチンを回避するため、帝政の建て直しを決意する。手始めに忠義に厚い下っ端メイドと、左遷されかけた優秀な文官を味方につけ、失敗した過去をやり直す日々が始まった。けれど、ミーアの本音は「我が身の安全第一」。仇敵を遠ざけ、人脈作りに励むうちに、なぜか周囲の忖度で次々と奇跡が実現!やがて、身勝手なはずの行動は大陸全土の未来を大きく変えていくのだった……。保身上等!自己中最強!小心者の元(?)ポンコツ姫が前世の記憶を使って運命に抗う、一世一代の歴史改変ファンタジー!

Amazon公式サイトより

主人公ミーアはティアムーン帝国の皇女であり、「パンがなければ肉を食べればいいじゃない」という名言(?)を残すほどの世間知らずで、ファンタジー作品にいるような典型的な悪役令嬢キャラで国民からは蔑まれてきました。

革命軍によるクーデターにより帝国は崩壊、ミーアは20歳にしてギロチン(断頭台)で処刑され命を落とします。

ティアムーン帝国物語 第一部 ~完~

とはならず、処刑されたはずのミーアは12歳の少女にタイムリープしました。

時間をさかのぼったミーアは、二度とギロチンで処刑されないために帝国の問題の改善、いざというときのためのコネクションづくりに奔走することになります。

あらすじには歴史改変ファンタジーとかかれていますが、どちらかというとSFチックな恋愛コメディ(コメディ色強め)作品です。

魔法も強大なモンスターも出てきません。

ティアムーン帝国物語の3つの魅力

主人公の周りによる盛大な勘違い

主人公であるミーアは、未来のことが書かれている日記と記憶を持っています。

そのため、帝国に危機が訪れそうになったら未来の日記と記憶を頼りに回避するわけなのですが、実はミーアにはそこまでの能力はありません!

普通であれば、未来の記憶というチート能力が使えるので過去改変などイージーモードではあるのですが、やり直し以前のミーアは怠惰の化身のような人間だったので帝国の政治を変えるほど頭脳明晰でもなければ知識の蓄えもありません。

ましてや、ミーアの原動力はギロチンで処刑されたくない一心での行動なので、「帝国の未来を変えたい!」「以前の私から生まれ変わるんだ」という考えはなく、中身は変わらず怠惰なままです。

では、どうやって帝国の未来を変えていくのか…それは周りの優秀な人間に行動してもらうことです。

未来の記憶と幽閉されていた時期の境遇からくる言動を、周りが上手く解釈してくれるため展開が都合よく進んでいきます。

その盛大な勘違いは、ワンパンマンに登場するキングと同等レベルで、勘違いを受ける主人公ですら可哀相になるレベルだったり…

そんなこんなでミーアの言動を上手く周りが勘違いしてくれるおかげで、展開がうまく進み帝国の危機が回避されていきます。

ここまで他力本願な主人公も珍しいよね

この部分は、人によっては「なんてご都合主義なんだ(怒」となるかもしれませんが、個人的にはゆるく笑える感じで安心して楽しく読めます。

というか、この周りによる勘違いがこの作品の面白いところの大部分な気もします。

さらに面白いのは、この勘違いのほとんどをミーア自身が気づいていないということです。

ミーアとしては、「ギロチン回避のため」「幽閉されていたときは~だったから…」などの自分本位な理由で動くので、周りをそこまで気にしないで動くのでしばしばアンジャッシュのコントが繰り広げられます。

一度でも、エンタの神様でアンジャッシュを見て面白いと思った人は、多分この作品のコメディ要素にハマると思いますよ。

キートン山田のようなツッコミで味のあるコメディに

キートン山田とは、アニメちびまる子ちゃんで90年~21年にかけてナレーションをしてきた人物ですが、たまにくる切れのあるツッコミに定評がありました。

さて、そんなキートン山田をなぜこの作品で紹介したのかというと、作中ではたびたびキートン山田のようなツッコミがナレーションとして出てくるからです。

この作品は、主人公の言動を周りが都合よく解釈することで進んでいくと書きましたが、実はその都合の良い解釈のたびにツッコミがナレーションとして出てきます

キートン山田風のツッコミは、漫画でもラノベでも出てくるのですがちょっとくだらない感じが面白く、少しクスッとなります。

勘違いストーリーが、ティアムーンの面白いところですがそれだけだと少しくどくなってしまうのも正直あります。

文中に出てくるツッコミが来ることで読者のミーアに対する声の代弁、または読者への補足の役割をすることができます。

サブキャラを必要以上に貶すことなく、ミーアの評価も必要以上に上がることがないので物語のバランスもしっかりとれています。

アンジャッシュ風の勘違いストーリーと、それに対するキートン山田風のツッコミのおかげでゆるく笑えるのがティアムーンの面白いところですね。

シリアスにならない安心感でゆるく読める

ティアムーン帝国物語とは、主人公ミーアが前世でギロチン処刑される原因である帝国の大飢饉や、周りに対するミーアへの不信を起こさないべく奮闘する話になります。

ガッツリ政治に関わるストーリーな上に主人公の逆転劇になるわけなので、多少はシリアスになる作品がほとんどです。

ですが、サブキャラの勘違い盲信ストーリーとキートン山田風のツッコミでそこまでシリアスにはなりません

もちろん、そういったちょっとしたメタ的な要素からシリアスにならないというのもありますが、登場人物やストーリーの内容からも安心して読める作品になっています。

その理由として、まずは主人公ミーアの性格が大きく関係します。

ミーアは、前世ではわがままを働き国民からの不信感を買ってしまい(大飢饉も大きな理由ですが)革命軍によって処刑されてしまいます。

普通であれば、「私をこんな目に合わせたやつに復習してやる!」と革命軍のメンバーを貶めてギロチンの上に立たせるようなものですが、ミーアはそれを「なるべく彼(彼女)らと関わらないように怒らせないようにしなければ!」と見事なチキンハートぶりを発揮します。

また、ミーア自身は基本何も出来ない人間で周りの方が優れていると考えているので、自分本意な性格ではあるものの他のキャラを事あるごとにヨイショします

もちろんサブキャラたちは、ミーアはかなり政治のできる頭の切れる人間と妄信的になっているので、そんな人間から全面的に信頼を受けているわけなので、ミーアに対する忠誠心は爆上がりです。

そして、ミーアは「ぐーたらで特別秀でたものがないキャラ」ではありますが「周りの人間の不幸を嫌うキャラ」でもあり、そういった性格からもサブキャラからは信頼を置かれています。

そういったミーアの性格から、変な殺傷や裁判などが起きることがなく、もともとは敵対していたキャラですらミーアに対して好意を寄せます。

読者側としてミーアの内情を知っていても、ポンコツで憎めない可愛いキャラだと思います。

ティアムーンを読んだあとは、後味の悪い展開にならず読後の印象もスッキリとしていて全体的にゆるく読むことが出来ます。

ティアムーン帝国物語がおすすめな人&合わない人

サブスク-おすすめor合わない
おすすめな人
  • ゆるいハッピーエンドが見たい
  • コメディ系が好き
  • 可愛くもポンコツな主人公が好き
  • 他とは一味違うご都合主義が読みたい
合わない人
  • ありきたりの展開が嫌い
  • 主人公の性格に好感が持てない
  • ガッツリした内政ストーリーが読みたい

ティアムーンは、終始シリアスや政治はあるもののゆるくコメディ色の強い展開になります。

そのため、平和だったりハッピーエンド系の物語が好きな人にはおすすめです。

また、勘違いストーリーとナレーションがいい味を出していて、笑える系の話が好きな人も楽しく見ることが出来ます。

逆に、基本ハッピーエンドで安心できる物語なので、ハラハラ・ドキドキといった展開はなく先の展開の想像をしようと思えばできるわけなので、ありきたりの展開が好きではない人はあまり楽しむことは出来ないと思います。

また、主人公に対しては好みが分かれやすいと思います。

主人公の、ポンコツだけど憎めない性格や自分本位になりきれないところが可愛いのが魅力ではありますが、人によっては「怠惰なだけで改心したわけでもないのになんで周りに好かれているんだ?」とい気持ちにはなると思います。

本質的には、聖人君子というわけでもなく崇高な志があるわけでもないので、他の作品の主人公と比べると印象は弱く好き嫌いがはっきり分かれるキャラなのかな~とは思います。

まとめ:終始ゆる~く見ることができる政治系でストレスフリーな作品です

ティアムーンは、終始ゆるく笑えるような作品でストレスも感じない作品です。

ぼくは、ダークファンタジーやガッツリしたシリアス系も好きではあるのですが、気分が落ち込んでいるときには見にくいし、ずっと見ているともやっとした気持ちはやっぱりつくので見るときにはタイミングを選ぶことが多いです。

それとは別に、深い内容もなくゆるく見れるような作品があるとストレス溜まっているときでも楽しめて重宝しています。

ティアムーンは特に、読後感もよく主人公含む登場人物もいいキャラで、定期的に読みたくなるような面白さがあります。

多くの作品と比べて、ずば抜けた面白さがあるのかと言われると微妙なところではありますが、ストレスなく読めて全体的に魅力が散りばめられているティアムーンはしっかりと良作になるのではないでしょうか。

ゆるく楽しめる作品が好きな人は、是非ティアムーン帝国物語を読んでみましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

年に500冊以上の書籍を読み漁ることが好きなただの本好きです。
漫画、ラノベ、ビジネス書を中心に様々な書籍のレビューをします。

目次